スポーツ内科

■アスリート心臓(スポーツ心)

 体の中のポンプとしての心臓は常に動き続けており、激しい運動を長期間続けていくと心臓の筋肉の肥大(心肥大)や心室の拡大(心拡大)が起こることがあります。また、アスリートでは副交感神経の緊張により徐脈性不整脈が起こることもあります。
突然死はアスリートに起こりうる深刻な問題です。欧米の研究では突然死の原因疾患では肥大型心筋症が26%と最も多かったと報告されています。肥大型心筋症は遺伝的な病気で、激しいスポーツの結果おこるものではありません。心電図や心臓超音波検査(心エコー)で事前に診断することができます。アスリートは症状がなくても心電図や心エコー検査をおこなっておく必要があります。
スポーツ心肺ドックでは心エコーを行っていますので先天性の心臓病やスポーツ心などのチェックが可能です。

■アスリート喘息(運動誘発喘息)

 運動誘発喘息は運動開始早期や運動終了後に呼吸困難や動悸などの喘息症状が起きるものです。国立スポーツ科学センター(JISS)の報告ではオリンピック強化指定選手の4.5%(通常の1.5倍)に喘息があったと報告されています。診断されていない選手もおり、アスリートのパフォーマンスの低下の原因のひとつになっています。

当院ではトレッドミルによる最大量の運動負荷直後から、1秒量を数分毎に測定し、運動誘発喘息の診断を行っています。これにより何人ものアスリートが運動誘発喘息と診断されました。

運動誘発喘息と診断された方には治療、対処方法のアドバイスを行っています。

■アスリート貧血

 貧血は、アスリートに比較的多くみられ、特に成長期によく見られます。アスリートのパフォーマンスの低下の原因のひとつになっています。
当院では、一般の貧血検査に加えて、貯蔵鉄の指標であるフェリチンを迅速検査で当日に結果を出して、診断を行っています。
鉄欠乏状態と診断された方には、薬剤治療に加えて、栄養調査を行い、栄養アドバイスを行っています。

■アスリート骨粗鬆症(アスリートの疲労骨折)

 アスリートの疲労骨折は、体重制限を必要とする女性アスリートや成長期のアスリートに比較的多く見られます。疲労骨折の背景に骨の強度が低下した骨粗鬆症がみられ、このため、骨折を起こしやすくなっていることが多く見受けられます。疲労骨折は競技からの長期離脱を意味し、ベースに骨粗鬆症があれば、治癒の遅延にもつながるため、予防すべき状況といえます。
当院では、通常の骨密度検査で行う腰椎DEXAに加えて、橈骨の測定を加えて測定しています。
女性では女性ホルモンの値、成長期では成長速度曲線、骨年齢などを測定して、骨粗鬆症になる背景を確認して、適切な治療、栄養指導を選択しています。
背景にある栄養状況を確認するため、栄養調査を行い、栄養アドバイスを行っています。 

■アスリート無月経

 激しい運動を長期間続けていくと、月経が起こらなくなることがあります。
以前は、体重制限のみられる競技で多く見られ、摂食障害、骨粗鬆症と合わせて、「女性アスリートの3徴候」と呼ばれていました。
最近はやせがみられなくても、利用できるエネルギーの不足が原因とされ、摂取エネルギーの不足や偏った栄養摂取が原因とされるようになりました。
アスリートにとって無月経は、疲労骨折につながるリスクファクターとして、起こしてはいけない状態との認識にかわってきており、栄養調査で摂取カロリーを確認して、無月経の予防を行ってます。

■アスリートの月経異常・月経障害

 アスリートでは、全く月経がなくならないものの、月経の頻度が少ない選手が多くみられます。
また、月経周期によっては、体調不良を感じたり、月経時の下腹部痛や月経量の多さで競技に影響がある選手も少なくありません。
こうした月経にまつわるコンディション不良がある選手に対して、内分泌的検査や超音波・MRIを用いた画像診断を用いて、診断を行い、適切な月経状況が保てるよう指導しています。
積極的に月経コントロールを行う目的で、生活改善薬としての低用量ピルを利用して、コンディション調整を行っています。