変わる!結核予防

独立行政法人国立病院機構 西別府病院 内科部長 瀧川修一

結核は日本では弥生時代から存在する古い病気ですが、決して過去の病気ではありません。 現在でも年間4千人に1人の割合で患者が発生しています。大分県の結核罹患率は常に全国平均を上回っていましたが、 平成15年に初めて下回りました。大分県の結核の歴史においては記念すべき年ですが、これを一年だけで終わらせることなく、 さらに改善していかなければなりません。そのためには一人ひとりが、結核という病気について正しく理解することが重要です。

■結核の感染と発病

さて、結核は人から人へ感染する伝染病ですが、どのようにして感染するのでしょう。会話や咳をすると、 目には見えませんが肺の奥から常にしぶきが吐き出されます。1回の咳で会話5分間分のしぶきが吐き出されると言われています。 排菌している結核患者が咳をすると、結核菌を含む粒子が30分以上も空気中を漂い、 未感染者がこれを吸い込こむことによって結核は感染します。食器や衣類を介して感染することは通常ありません。 結核菌に感染している状態かどうかを調べるにはツベルクリン反応検査(以下ツ反)を行います。 結核菌が身体の中に入って感染しても、約九割の人は結核という病気にはならず、残りの1割の人が、 身体の中に入った結核菌が暴れだして、結核という病気になります。これを発病といいます。

■小中学生の結核予防

このような結核の感染や発病を予防する方法として行われているのが、BCGという予防接種です。 BCGワクチンを塗りつけた皮膚の上から管針と呼ばれる九本の針を押し付けることから、「ハンコ注射」として知られています。 日本ではこれまで、乳幼児期、小学一年、中学一年の3回BCGを接種する機会がありましたが、 2年前からBCG接種の制度が大きく変わりました。 まず、これまでは小一、中一でツ反を行い、陰性者にはBCG再接種をしていましたが、 2年前に学校保健法と結核予防法施行令の改正により、ツ反もBCGも全面的に廃止となり、 全学年に対し問診票による結核検診が開始となりました。問診票は教育委員会が開催する結核対策委員会で検討されます。 この改正の理由は、5歳から14歳までの結核罹患率が10万人に約1人と極めて低くなったこと、 BCG再接種の効果について科学的に明確な根拠がないこと、 日本に先行してBCG再接種を廃止した国でその後に悪い影響が現れていないこと、などがあげられます。 問診票では、1.結核治療歴2.予防内服歴(結核に感染した場合に発病予防のため薬を服用すること) 3.家族歴4.海外居住歴5.自覚症状6.BCG接種歴(小学一年のみ)の5~6項目を質問します。 これらの質問の中で親御さんにとって最も抵抗のあるのは家族歴のようです。 結核の患者が発生すれば保健所が必ず接触者検診を行うので、それで十分ではないか、 学校にまで結核の家族歴を知られたくない、というのが抵抗を感じる理由のようです。 しかし、家族歴は子供が結核に感染する機会の大きな割合を占めており、他の質問より重要度が高いと言っても過言ではありません。 学校や結核対策委員会はプライバシーを尊重して対応に当たっておりますので、是非ともご理解いただきたいと思います。

■乳幼児の結核予防

BCGの初回接種は、結核の感染、発病、重症化の予防に明らかな効果が確認されており、 これまで初回のBCGはツ反陰性者に対し生後3ヶ月から4歳に達するまでの期間に接種されていました。 しかし、平成17年4月から結核予防法と結核予防法施行令の改正により、出生直後から生後6ヵ月までに、ツ反は実施せず、 BCG接種をすることとなりました。特別な交通事情や災害の場合にのみ一歳まで認められます。 早い時期にBCG接種をすれば結核に自然感染する機会が自ずと減少するためツ反を省略することができ、 BCG接種率を高めることができる、というのがこの改正の主旨です。また、政令では出生直後から6ヵ月までとなっていますが、 免疫不全症児に接種してしまうと致死的な全身性BCG感染症を生じさせてしまう可能性があるため、 免疫不全の有無が明らかになる生後3ヵ月以降の接種が推奨されています。 公費で接種できる期間は非常に短く注意が必要ですが、うっかり忘れた場合は自費であっても接種するのが望ましいと思われます。

アクセスマップ

〒874-0840 大分県別府市大字鶴見4548番地 TEL:0977-24-1221 FAX:0977-26-1163

Copyright (C) 2016 Nishibeppu National Hospital. All Rights Reserved.